EVENT

【開催レポート】ブロックチェーンで変化する世界:単一から多様、中央集権から分散型へ

Unchained(アンチェーンド)では、2019年待望の第一弾イベントとして、1月25日、「〜ブロックチェーン、仮想通貨の次に来るもの~ 欧州最新事情と2019年の展望」を、アララ(外苑前)の会場をお借りして開催しました。

本イベントは、分散型組織の実現を目指すCollaboGate(コラボゲート)との共催で、株式会社インフォバーンCVOの小林弘人、CollaboGate代表を務める三井正義氏、同CMOの栗原宏平氏が登壇。

前半では、小林が参加した分散型ウェブの実現を目指す開発者や技術者が集結した「Web3 Summit」(独ベルリン)と、CollaboGateが参加した
Malta Blockchain Summit」(マルタ島)から、2018年のブロックチェーン業界の動向を振り返り。後半では、3名によるQ&Aを交えたパネルディスカッションを通して、2019年のブロックチェーン業界やビジネス・社会での実用について予測しました。

DeFiに注目:欧州のブロックチェーン実用化に向けた動向

まず、CollaboGateの三井氏から、2018年の注目すべき動向として、セキュリティトークンのプライマリーマーケットでの資金調達方法であるセキュリティトークン・オファリング(STO)の実施と、法整備の動きが進められている現状について説明。特にマルタ政府、同島に拠点を置く世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンス(Binance)、さらにトークン化された証券の資金調達プラットフォームであるニューファンド(NeuFund)が協力して行なっているSTOへの動きに注目しているとコメント。

さらにブロックチェーン技術によって、今まで単一だった場所、時間、組織が多様化していき、2019年にブロックチェーンが実用化される領域は、「分散型金融(Decentralized Financial:DeFi)」だろうと予測。「DeFi」とは、デリバティブやトレード、証券などの金融取引を分散的に実現するプラットフォームのこと。これまでの中央集権型とは異なり、信用性・透明性の高い状態で、インターネットに接続されていれば国境に関係なく、誰でも自由にアクセスでき取引できる状態を目指します。

その他にも、世界中のリーガル人材のマッチングプラットフォーム
Legal.io」やエストニアのe-Residencyに登録した会社のバックオフィスを担うサービスを提供する「LeapIN」など、場所や組織がすでに多様化されている、欧州の最新プロジェクトを紹介しました。

単一から多様化への動きを説明する、CollaboGate三井氏

  

欧州やアジアで多数のカンファレンスに登壇し、各国の規制動向に詳しい栗原氏からは、GDPRなど欧州のプライバシーに対する日本との見解の違いや、ブロックチェーンで新たな解決策を模索しているマルタ、ロシア、エストニアの現状について説明。

同氏は、日本と欧州との大きな2つ違いは、国民のプライバシーに対する危機感と新規産業へどれだけ投資しているかであると指摘。例えば、エストニアはソ連との歴史から、個人IDやセキュリティに強い危機感を抱いており、分散化の取組みにより解決しようとしている。一方、日本は既存産業やインフラが発展しており、新規産業への投資がされておらず、日本のブロックチェーン産業が遅れている原因であるという見解を示しました。

各国の動向について説明する、CollaboGate栗原氏

  

次世代のインターネット「Web3.0」の世界へ

一方の小林からは、2018年10月に、分散型ウェブの実現を目指す国際団体Web3 Foundationが主催した「Web3 Summit」について報告。

様々なトークのなかでも、インターネット技術の発展を目指して活動するProtocol LabsのCEO、Juan Benet氏が定義した「Web3.0」が印象的に残ったと言う。同氏は、「Web1.0はRead-only(読むのみ)、Web2.0はRead-Write(読んで書く)。そして、Web3.0はそれにTrust(信頼)が加わったものだ」と説明した。

現在問題となっているフェイクニュースや真偽のわからないインターネット上の情報に、ブロックチェーンによる信頼が加わることで、その情報に価値が付与されます。いわゆる、トラストレス化(情報や第三者への信頼が不必要になること)により、GAFAを含む多くのプラットフォームに個人情報を預けて危険に晒される現状に一石を投じるP2Pサービスが誕生していくことが予測されます。

また、ブロックチェーンの急速な発展の背景にあるのが、暗号技術の発達であるともコメント。特に、ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof:ZKP)とセキュアなマルチパーティーコンピュテーション(Secure Multi Party Computation:SMPC)によって、個人情報の開示なく、相手に真偽を伝えることができる技術が、すでにAdExZCashなどのプロジェクトで実現されていると紹介されました。

ゼロ知識証明について説明する、インフォバーンCVO小林

  

2019年は何が起こる?ブロックチェーンの動向を予測!

後半では、会場からの質問を中心に、2019年のブロックチェーンでの動向をパネル形式で展開。

「日本本社会はどう分散型を受け入れていくか」という質問に対して、三井氏は、「個人の視点で見た時、好きな場所、時間で働くのは人間の潜在的欲求であるが、組織にとっては分散型は不都合な場合がある。個人と組織がWIN-WINになる関係を、法整備などを通して実現されようとしている」と説明。

また、仮想通貨に対するイメージが強いなか、日本ではいかにブロックチェーンのコミュニティを広げるか、また世界から日本はどのように見られているのかという質問もあった。栗原氏は、「日本は、暗号通貨に対する取組みや議論は世界から評価されているが、ブロックチェーンの産業はかなり遅れている。世界中から識者を招いてブロックチェーン産業を盛り上げていくべきだ」と指摘しました。

会場からも多くの質問が寄せられました

  

イベント全体を通して、日本ではなかなか知り得ない、欧州のブロックチェーンに関する取り組みや、技術面とビジネス面での話が交わされ、会場とのQ&Aも大変盛り上がりを見せました。2019年は、分散型技術、さらに同技術を活用することで広がる変革の可能性が注目され、さまざまなブロックチェーン・プロジェクトが実際に動き始める、興味深い1年となりそうです!

Unchainedでは、今後もイベント開催や最新のブロックチェーン情報を更新していきます。ぜひチェックしてください!