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【開催レポート】旧来の銀行にこそ問われる、デジタル時代におけるユーザーへの提供価値とは

Unchained(アンチェーンド)では、1月25日に続く第2弾イベントとして、2月27日(水)「フィンテックはわたしたちを幸せにしてくれるのか?『お金の未来を考える The Future of The Money』」を開催!今回はベルリン発モバイルバンクN26からスペシャルゲストも登壇しました。

「お金」がユーザを考える時代へ

イノベーション視点からブランド開発を行うHENGEの廣田周作氏(CEO/Director)からは、「Future of Money」と題して、世界中の最先端のフィンテック動向を紹介。同氏は、いま起きている重要な変化として、金融が旧来の銀行中心の「中央集権型」から、個人向けのUI/UXを重視した「分散型」に変遷していると指摘しました。

同氏が、お金の変遷について起きている注目すべきポイントとしてあげたのが、「パーソナライゼーションの自動化」。金融サービスのデジタル化が進むことで人的かつ物理的コストが大幅に削減され、顧客1人1人に向けてカスタマイズ・最適化されたサービスが提供されるようになる。

「フィナンシャル・インクルージョン」と言えるこの変化は、現在の社会課題解決や働き方の変革にも通じています。例えば、発展途上国の銀行口座を持たない17億人の層や、副業やフリーランスなど多様な勤務形態で働く人々が、それぞれに適した金融サービスを利用できるようになります。

つまり、お金(金融サービス)が、個人の状況や嗜好に応じてパーソナライズ化されてていく時代になるわけです。

さらに、同氏は「フィンテックはわたしたちを幸せにするのか」という問いに対して、ユーザー自身の解像度を上げ、「わたしたち」とは誰をさすのか、「誰にとっての」サービスなのかを考える必要があると指摘しました。「わたしたち」を不特定多数で括るのではなく、一人ひとりの人間として捉え、個人の幸せを実現することが、まさに「お金のパーソナライゼーション」にもつながります。

金融機関の再定義による、「銀行3.0」「銀行4.0」の到来

続く廣田氏とインフォバーン小林弘人(CVO)のパネルディスカッションでは、フィンテックの発展が、どのような時代の到来を意味するかについて議論。

廣田氏は、本来、お金の価値は「バーチャル」であるため、デジタルとの相性が良いと指摘。デジタル技術が「お金」を個人の信頼と紐付けることにより、お金をやり取りする役割を担ってきた旧来の銀行窓口の必要性がなくなり、店舗・リテールの再定義が行われると語りました。小林も、製品を販売するという店舗の役割から、体験価値の提供の場に変化している流れを説明。

さらに、「銀行3.0」「銀行4.0」についても触れ、前者は社会的責任を追求、後者は変革を促すエコシステムを構築する金融機関であると定義。廣田氏は銀行3.0の例として、Baltic Sea Card(購入品のCO2排出量情報が記録されリサイクル可能なデビット/クレジットカードを提供するフィンランド企業)、銀行4.0の例としてTriodos(サステナビリティやインクルーシブ・ビジネス向けのローン提供する企業)を紹介しました。

Henge CEO 廣田氏(写真右)とインフォバーン小林(左)によるパネルディスカッション

  

N26、急成長の裏にあるHR革命の全貌とは

N26は、わずか8秒で口座を開設することができ、すべての銀行サービスをオンライン上で完結できるモバイルバンク企業です。2013年にベルリンで創業し、欧州を中心に100万人以上のユーザーを持ち、2019年に米国にも進出しました。急成長を遂げる背景には、徹底したUI/UXを実現する企業姿勢がありますが、顧客目線を理解するためにも、もっとも身近なユーザーである従業員のUX向上を重視している点が非常にユニークです。

その社内の取組みをまさに推進しているのが、今回登壇したChief People OfficerのNoor Van Boven氏。同氏は、ユーザーに愛される最高のプロダクトを作る上で、世界中の優秀な人材を魅了し、育成することの重要性を説明。そのためにN26が促進する戦略として、以下の3点をあげました。

    ⑴野心的な戦略を従業員にも推進
    ⑵従業員とのコミュニケーション
    ⑶従業員ジャーニーの作成

⑴同社は、「#NoBullShit(無駄なことはしない)」というスローガンを掲げていますが、その野心的な姿勢を社内でも推進し、社員からの小さなフィードバックにも常に気を使うことで、大きなインパクトを生み出すことができる。

⑵N26ではプロダクトと同じように、社員のエンパワーメントと社内プロセスのデジタル化を推進。その一例が、社員専用のモバイルアプリ。同アプリを通じて、給与管理や必要な社内情報にアクセスすることができ、従業員とのコミュニケーション強化や利便性の向上に繋げている。

⑶同社では、カスタマージャーニーマップならぬ、従業員ジャーニーマップ作成。さまざまな社員のペルソナを設定し、入社や結婚・育児休暇などのライフイベント描き出すことで、パーソナライズされた働き方やUI/UXを提供。

N26について紹介するNoor Van Boven氏

  

従業員目線でサービス向上を実現するという視点は新鮮で、会場からも多くの質問が出ました。「日本企業でも実現できるのか」という質問に対して、Noor氏は「イノベーションは顧客と従業員から生まれます。彼らの小さな意見が受け入れられる環境づくりが重要だ」と回答。また、N26では旧来の金融機関出身者とエンジニアのような、考え方やカルチャーの違う従業員が混在しており、社内衝突もあるが、そこを世界一の金融サービスを目指すという共通の目標を持ち、互いに乗り越えることで「魔法が起こる、まさにイノベーションが生まれる場だ」とも語りました。

会場の質問に答える小林(左)、廣田氏(中央左)、Noor氏(中央右)

  

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